巻き爪の様々な矯正方法やセルフケア
巻き爪を直す方法として、前回コラムは病院の治療方法について述べました。今回は引き続き医療行為に該当しない巻き爪矯正方法やセルフケアをご紹介していきます。
巻き爪矯正とは、前回述べた手術とは違い皮膚や爪を切ったり、薬品をつかったりはせず、爪自体を矯正する方法です。爪の矯正は爪に矯正器具を取り付ける方法なので、つけ爪などのネイルサロンで行われる行為と同じ位置づけです。
矯正法にはワイヤー、プレート、クリップ、テープ、シールなど器具の形や素材が様々です。市販でも売ってはいますが、売っているものはお手軽ですがすぐに取れたり、矯正効果が薄く、重度の巻き爪や変形爪には難しいようです。当院に来院された患者さんの中にも、試したけれどあまりよい改善が見られなかった方も実際にいらっしゃいます。
次にご紹介する矯正方法はどれも医療行為には該当せず、そのため保険適用外となります。ですが、巻き爪自体を根本解決するために必要で効果的な処置として広く行われており、また病院の中でも行われる種類もあります。
病院で行われる矯正法
VHO(ヴイエイチオー)式矯正法
VHO式矯正法は、専用のワイヤーを爪の端に合わせるようにして取り付けます。爪の両サイドに引っ掛けるようなイメージで、真ん中で締め上げるようにして、両サイドにテンションをかけて固定し矯正していきます。
2~3ヶ月おきにワイヤーのかけなおしが必要で6~12ヶ月で矯正が完了します。
派生として、invento puls(インベントプラス)または、podofix(ポドフィックス)、combiped(コンビペッド)というものもあります。
invento puls(インベントプラス)
主に鍼灸院や整骨院で行われている矯正方法です。
インベントプラスの施術方法は金属製のS字フック2本と巻き上げるためのワイヤーの3点を使用します。
金属製のフックを爪の両端にかけてから爪中心部のフックにワイヤーをかけ、真ん中で締め上げるようにして、両サイドにテンションをかけて固定し矯正します。最後にジェルで巻き上げ部分をコーティングします。
podofix(ポドフィックス)
ポドフィックスの施術はワイヤー一体型合成樹脂製パットと、固定させる専用の接着剤を使用しておこないます。
樹脂製のプレート内に金属製のワイヤーが入っており、爪にプレートを接着後、真ん中で締め上げるようにして、両サイドにテンションをかけて固定し矯正し最後にジェルで巻き上げ部分をコーティングしていきます。
爪にワイヤーをかけることに抵抗や、爪が薄くてワイヤーがかけられない方に適しています。
combiped(コンビペッド)
コンビペッドの施術は専用のワイヤーと、爪とワイヤーを固定させる専用の接着剤を使用しておこないます。
コンビペットは爪の片側にフック状にしたワイヤーをかけ、爪に樹脂製の接着部を接着剤にて固定します。
爪の巻きが片側だけの方には適しています。
マチワイヤー矯正法
病院で行われる矯正方法として広く採用されています。爪の先端に穴を開け、そこに金属製のワイヤーを通してワイヤーの弾性で矯正する方法です。うまく処置すれば痛みがなく矯正効果も期待できます。術後3~6週間おきに、爪が伸びた分だけ切って、爪に再度ワイヤーを固定し、6~10か月くらいで矯正は完了します。ワイヤー矯正器具は爪をある程度のばさなくてはいけなく、爪先がぶつかりやすいうえにワイヤー自体も衣類に引っかかりやすいのが特徴です。
ガター法
チューブを小さく切り、縦に切れ目を入れたものを爪の側縁に挿入し固定します。 挟んだチューブが食い込んでいた爪との緩衝剤となり、数日で痛みや炎症は消失します。 特に痛みや炎症が強く、肉芽がある場合にもよい適応となり、これにより肉芽の縮小が期待できますが、どちらかというと対処療法のため、巻き爪自体の改善は見込めません。同様の方法として、コットンを小さく丸めて皮膚と爪の間に挟む「コットンパッキング」という方法もあります。炎症や化膿していた部位から物理的に離すため、陥入爪にも適応し、健康保険の適用範囲内で処置が可能です。
プレート矯正法
爪の表面に適切な位置に貼り付け可能で加工もしやすいので目立たなく邪魔にならないのが特徴です。
月に1回プレートの貼り替えを行い、3~5か月くらいで矯正が完了します。練馬院もプレート矯正です。ネイルサロンでも主に取り入れている矯正法です。
ONYCLIP(オニクリップ)
オニクリップ板は形状記憶の金属板で、張力を利用して自然状態に戻していきます。コーティングされた金属板を爪に装着することにより爪をケアします。 金属板は、専用のラウンドニッパーを使用し簡易に曲げることができ、爪の状態に合わせて適度なカーブをつけて、無理なく装着することが可能です。金属の板なので重度の巻き爪や変形が著名(逆V字型)な爪でも板が折れることがありません。2週~4週で張替えが必要です。
Pediglass Technology(ペディグラステクノロジー)
ペディグラスとは、特許を取得しており、弾性のある樹脂製プレートを専用接着剤にて爪の端に装着、プレートを対側に押し込みながら接着することで傷みなく爪端の巻きを引き上げ矯正する方法です。矯正力は軽度であれば、従来のワイヤー矯正とほぼ同等の矯正効果があり、また爪表面を専用ジェルにてコーティングするため見た目が目立たず仕上がりがきれいなのが特徴です。プレート1枚で爪の片側を矯正するので爪全体を矯正させるには別途料金がかかります。月に1回の張替えで、3ヶ月~12ヶ月矯正が必要です。
B/S SPNGE(B/Sスパンゲ)、B/S BRACE(B/S ブレイス)
B/Sスパンゲとは、ドイツ発祥の形状記憶の特殊なプラスチックプレートを、専用の接着剤で爪の上に貼る事で、巻いてしまった爪の形を正常な爪の形に整えていく補正方法です。比較的、爪の厚さや形を選ばずに対応でき、取り付けてすぐにプレートの効力が出ますので、痛みに対して即効性があるのが特徴です。また、普段の生活にも邪魔になりません。
通常3~4週間での張替えが必要で3か月~9か月の矯正が必要です。
F/T BRACE(F/T ブレイス)
当院が使用するF/Tブレイスは、21万回(2022年1月時点)を超える施術実績の経験から独自に開発し進化を続けているプレート矯正器具です。初回施術だけでも爪の食い込みの痛みがほとんど軽減される高い矯正効果があります。プレートを爪表面に貼り付けると食い込んだ爪を持ち上げ平たく整えていきます。爪の形状には個人差がありますが、陥入爪や変形爪など幅広いタイプの爪に対応できます。施術後はほとんど目立たず、初日からお風呂や運動も問題なくでき、日常生活にも支障がありません。張替えは3~4週で行い、矯正期間は3ヶ月~6か月ほど必要です。詳しくはこちらのページからご確認ください。
セルフケアの種類と特徴
次に、セルフケアによる対処法をご紹介します。セルフケアにも様々な選択肢があります。
爪を適度に伸ばす
先ずは極端な深爪をしている場合、巻き爪・陥入爪ともに大きな原因の一つとなる深爪を解消することが必要になります。爪の長さが適度に必要なコットンパッキングやクリップなどの方法が選択できないので、まずは爪を適度に伸ばすことも重要な対処法の1つです。しかしながら一度深爪になると伸ばそうとしても伸びながら皮膚に食い込んでしまいます。そういう場合は確実なプロに任せるべき状態です。
正しい爪切り(スクエアカット)
逆に爪を切らずに長くしたせいで、爪の白い部分は特に外部から圧力を受けやすくなります。適切な爪切りをして対処しましょう。適切な方法とは、爪を四角く(スクエアカット)カットし、ヤスリで角を適度に落とすことにより、巻き爪の予防になるだけでなく、軽度の症状であれば改善されることもあります。特にご注意いただきたいのが、長さは指先と揃えることです。長すぎも短すぎも負担になるので、爪ケアは適度なペースで最低でも2週に1度行う必要があります。
コットンパッキング
巻き爪の最も簡単な応急処置として行われる方法にコットンパッキングがあります。お風呂上りなど、爪が柔らかくなっているときに、米粒程度に丸めた乾いたコットンをピンセットで爪の角と皮膚の間に入れます。ガター法同様食い込んだ爪を物理的に持ち上げる方法です。コットンパッキングをすることで、爪と皮膚の部分に空間ができます。これを繰り返すうちに、爪の角が上に押し出され痛みも緩和されます。爪が薄い方はコットンを一度にたくさん詰め過ぎないようにしましょう。無理にコットンを詰め込むと爪が折れてしまいます。コットンを少しずつ詰めるようにしましょう。
テーピング
軽い陥入爪の場合、テーピングで皮膚を引っ張って皮膚を爪から離す方法があります。くい込んでいる指の皮膚を、下に引っ張ることで爪と皮膚の間に隙間を空ける方法です。テープを爪が食い込んだ皮膚に貼って、その後下に引っ張りながら、らせん状に指の周囲にテープを貼ります。爪を切りすぎて生じた深爪による一過性の陥入爪であれば、このテーピングで十分改善が期待できます。テーピングによる効果で爪が皮膚に当たらない状態が継続され、そのまま真っすぐ指先まで爪が伸びればもう心配ありません。
巻き爪用クリップ
巻き爪用のクリップを使い、爪を矯正しつつ伸ばす方法です。一般医療機器として市販されており、自分で付け外しができるメリットがあります。クリップの両端にあるフックを爪先に引っ掛けテープで固定するだけの物と、爪の先端部全体にかけるだけのものによる矯正方法です。形状記憶合金の元に戻ろうとする力で、曲がった爪を矯正します。ただ、先端部にかけるということで深爪をしていると装着ができません。爪の形・大きさ・厚さによっては別の対処が必要です。皮膚科や整骨院等でこの方法を取り入れているところもあります。
靴のサイズに注意する
「適切なサイズの靴を履くこと」は巻き爪を防ぐための重要なポイントです。小さ過ぎる靴は論外ですが、大き過ぎる場合にも遊びがあって、かえって歩く際に靴の中で足の指が動いて靴にぶつかってしまい、結果として巻き爪になります。指先の余裕は5~10mmぐらいを目安にして、自分の足型や靴の中で足が動かないよう固定できる靴を選ぶことが大切です。特に女性の靴のデザインはヒールに高さがあります。そうした靴がつま先に体重をかけて足または爪に多大な負担を掛けてしまうことを覚えておきましょう。
爪は本来柔らかいものなので、ハイヒールなど、靴の爪先が急に狭くなっているような形の靴は、親指と小指の両側から強い圧力が掛かって巻き爪になってしまうので、出来るだけ避けた方が良いでしょう。
●それぞれのメリット・デメリットを理解する
外科的手術と手術以外の矯正法、または自分でするなど様々な対処方法などがありますが、それぞれの特徴、メリット・デメリットを理解した上で、治療方法の選択をし、後悔のないようにしましょう。
東京巻き爪矯正院 練馬院院長 湯澤憲司
【東京巻き爪矯正院 練馬院】
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〒176-0011 東京都練馬区豊玉上2丁目27−23 千川通り沿い1階
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