巻き爪の正しい治療法の選び方 〜前編〜

1 巻き爪専門だからこそわかること

巻き爪専門院として開業して早10年以上経ちます。
巻き爪専門ですから、

・巻き爪(湾曲爪)

・陥入爪

・爪甲鉤彎症/肥厚爪

といった爪のお悩みで来院される方がほぼ100%

すでに2021年11月現在は21万回以上の施術実績となっています。

たくさんの症例に対応してきた私たちですが、

こちらのコラムをご覧の皆様が関心のある「何が巻き爪の正しい、一番良い治療法なのか?」というのは問いの答えは

一言では答えられないというのが本音です。

巻き爪の悩み

2 迷う理由 治療の選択肢の多さ

巻き爪の治し方を大きく分けると

  • 手術治療・・・フェノール法、鬼塚法といったもの

  • 温存治療・・・巻き爪矯正やセルフケア

に分けられるいうのが一般的なものです。

もちろん他にも治し方は存在していて

手術とまではいかない、爪切り程度の爪の切除による療法

炎症や化膿や肉芽に対して行う皮膚への皮膚科的な療法薬、液体窒素や硝酸銀での凍結法、抗生物質とによるアプローチなども存在します。これらはどちらかというと爪が食い込んで傷んでしまった皮膚に対する対処療法と言えるでしょう。

 

手術治療

手術のメリットとしては、皮膚側の対処療法的な巻き爪治療では頻繁に再発するとか毎月通院を要するといった場合には一度で済むという面と通院による費用と時間のを考えるとメリットがあると考えます。

もちろんデメリットも多く存在し、

  • 術前の麻酔・手術自体の痛み
  • 手術後の痛み(歩いて帰れない、休みが必要になる場合もあり)
  • 経過観察のため通院を要することがある
  • 爪の後遺症的な人工的な変形
  • 手術しても巻き爪再発例は多々存在する

「手術だと一回で解決する」のはある意味正しいですが、ある意味誤解があります。

改善効果は短期的には大きいと考えます。しかし長期的な考えをした場合に術後の後遺症が出る場合もあります。フェノールで焼ききれなかった爪組織の不完全な再生し、再び爪の皮膚組織への食い込みが生じる例は少なくはありません。(実際に当院へいらっしゃる患者さんの経験より)

「手術は再発しない治療法である」という認識は大きな間違いです。

また、病院で巻き爪や陥入爪の治療と考えた場合に

本邦では皮膚科、形成外科、整形外科と様々な診療科でも専門は少なく、各医師がそれぞれ色々な方法を試行錯誤しながら行なっており、治療方法が確立されていないというのが現状です。

程度や症状にもよりますが「巻き爪」自体は疾病として扱わない場合も多く、日本の健康保険の対象とならない。病院でも自費診療になることもあります。

それだけでなく、医療点数が取れないため

病院では対応しにくかったり

対応を断られたり

「様子見ましょう」「巻き爪がもっと悪化したら手術考えましょう」

といった具合の対応になることが病院で受診されたケースにおいては過半数を占めます。

巻き爪や陥入爪は痛いのに、病院で医療保険の範囲で対応してくれるとは限らない

巻き爪や陥入爪の手術だけに限らず、病院での治療自体を受けられない可能性があるというのが巻き爪に悩む方をさらに悩ませる現状なのです。

温存治療

温存的な療法として大きく2つのカテゴリーに分けることができます。

・爪の刺激から痛みの出ている皮膚を保護したり、隔離して巻き爪を改善する方法。

セルフケアでできるものの代表としてキネシオテープなどでのテーピング方法が挙げられます。軽度の巻き爪や陥入爪なら痛みの緩和や炎症を抑えるなどの効果が期待できます。

・爪甲の彎曲(巻き爪)変形した爪の形自体を平たく矯正して治療する方法

形状記憶合金でのワイヤーなどの矯正方法をはじめ、今では樹脂製のプレートや矯正道具もあります。

金属系
・Drショール・・・自分で取り付け可能な市販されている矯正器具で
・マチワイヤー・・・爪の先に2箇所穴を開けて合金ワイヤーを通し平たく矯正する
・VHO・・・加工したワイヤーを左右の爪甲側縁に装着し中央で巻き上げることで爪甲を矯正する方法

樹脂製プレート
・B/Sスパンゲ ドイツ製の特殊プレート
・ペディグラス 日本製の樹脂製プレート
・F/T ブレイス 日本製 当院独自の矯正プレート

もちろん他にも存在しますが、新しい巻き爪矯正方法が出てきています。

温存治療の一般的な大きなメリットとしては、

  • 手術や医療処置のような痛みがほぼない、麻酔も必要ない
  • 爪の形自体を改善することで巻き爪の痛みを根本からなくすことができる
  • 施術後すぐに歩ける、入院や休みも不要

デメリットとして

  • 通院が数回必要になる
  • 化膿や炎症、肉芽がひどい場合には施術自体が不可能な場合がある
  • 保険が効かない。自由診療となる。

もちろん他にもメリットデメリットはありますが、大枠このようなところでしょう。

さて、多種多様な治療方法や矯正方法をお話しすると

ますます (表題の主旨に反しますが・・・・)

「どの治療法が結局良いの??」と疑問に思ってしまい迷ってしまいますね。

3  さらに迷う理由 十人十色の症状や状態

ここまででも十分にどのように自分の巻き爪や陥入爪を治して行っていいかわからなくなってしまったのに、さらに迷わせる理由があります。それは巻き爪の程度や状態などが人により大きく異なり、十人十色。それぞれに合う治療法というのもまた十人十色ということです。

  • 巻き爪の形状や進行具合
  • 爪の質 爪の厚さ
  • 痛みの有無と強弱
  • 出血肉芽や化膿の程度
  • 再発の頻度
  • etc

爪甲の湾曲が出始めた中度程度の巻き爪やがストロー状に巻いた重度巻き爪もあります。一見巻いていないように見えても端に近づくと巻き方が強くなるようなホッチキスタイプの巻き爪などさまざまな形状があります。

爪の質や厚さも人それぞれです。温存治療での矯正の効果が出やすい爪だったりそうでなかったりなど色々あります。

また湾曲は強いのに痛みを全く覚えない爪、さほど巻いていないのに痛む爪もあります。痛みの出方はその方の巻き爪の進行具合と皮膚によっても左右されれます。痛みの程度だけで巻き爪の形状の悪化の程度判断はできないのです。

皮膚が弱い方だと爪の少しの陥入が生じただけで炎症を起こし、時には出血まで起こします。

例として、皮膚が弱い方で、さらに爪がカミソリのように薄いと相性悪く出血、炎症しやすいことが多いです。悪化すると肉芽(にくげ)が発生したりしてより痛々しくなります。

巻き爪を何らかの形で改善したとして、すぐに再発する方もいれば、再発しない方、再発するけどだいぶ時間が経ってからの方など、その再発頻度もまちまちで人によって異なります。

今まで述べてきたことをまとめると

いろいろな治し方がある ×    いろいろな巻き爪がある

= どんな巻き爪治療をすればいいかもっとわからない

となるわけです。

さてでは自分に合った巻き爪治療を選択するにはどうしたらいいのでしょうか?

後半へ続く・・・・

 

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