日本人女性の3人に1人、男性は2人に1人が浮き指だといわれています。浮き指は、体のバランスが悪くなり、首や肩がこりやすく、足のトラブルや下半身太りの原因になることもあります。
ではなぜ浮き指になるのでしょうか? また、浮き指になると体にどんなリスクがあるのでしょうか? 改善方法も併せてご説明します。
浮き指とは
浮き指とは、その名の通り、浮き上がって地についていない足の指先のことです。
人の足は「かかと」「足指の付け根」「足指」の3点が地にしっかりとついて、バランスをとりながら全体重を支えています。しかし、浮き指になると指先が浮いているために、かかとと指の付け根の2点だけに重心がかかり、本来の安定した歩行ができなくなります。
左右でも差が出て、足裏が不安定な状態になります。そうなると体のバランスがくずれて、全身にさまざまな症状が現れてきます。
しかし、浮き指は上から見ると指が曲がっていないので、自分では気がつかない人も多くいます。
足指についてチェックをしてみましょう。
足の親指を、下から甲側に押してみます。親指が90度以上そると、浮き指の可能性があります。指が甲につくくらいに90度を超えて曲がるのは、体(指先)がやわらかい証拠だと思うかもしれませんが、それは勘違いです。
浮き指の原因は足の構造の変形
足指の力が弱く、足指をうまく動かすことができないと浮き指になりやすく、その主な原因は「足の構造の変形」。例えば、外反母趾、扁平足、足首の回外や回内だと考えられています。
扁平足に関して言えば、
人は生まれた時は偏平足です。成長するにつれて歩く、走るなどの運動量が増えていくと、足裏の筋肉が発達し、土踏まずの筋肉が形成され、9歳頃までに土踏まずができあがります。
ところが、歩き始める乳幼児期から学童期の間に、足をあまり使わないでいると足裏の筋肉が十分に発達しません。そのまま土踏まずが十分でない状態で成長し、大人になると扁平足になってしまいます。
扁平足は、単に土踏まずのアーチがないだけで何の問題もないと思われがちですが、そうではありません。扁平足による弊害は、いろいろあります。
扁平足になると、足首が内側にねじれてまっすぐに立てず、正しい姿勢が保てなくなります。そうすると体のバランスが崩れて足の筋肉や骨に余計な負担がかかり、足のトラブルを引き起こしやすくなります。浮き指になるリスクも少なくはありません。
また、ぞうりやげたを履いていた昔と違って、現代人は靴を履きます。靴を履いて歩くには、ぞうりやげたのように、足の親指と人さし指に力を入れて鼻緒をつかむ必要もありません。
そのために親指の付け根の筋肉が弱り、足の甲のアーチ構造がゆがみ、指先が上がり、浮き指になりやすくなります。
浮き指は巻き爪など足のトラブルや、全身に負担をかける原因に
では、浮き指のリスクを詳しく見てみましょう。
1:足のトラブル
浮き指になると、浮いた指はしっかりと地をつかむことができないので、指先には力が入らず変なところに力が入り、本来はかかるはずのない負担がかかってしまいます。そのために、巻き爪や外反母趾、タコ、うおのめなど足のトラブルの原因になります。
2:上半身に及ぼす影響
また、指先が地につかないということは、重心はかかとにかかるということです。そうなると足裏が不安定になり、バランスが悪くなって体が後に傾きます。そこで体は無意識に前傾姿勢を取ろうとして、全身に力が入ってしまいます。
上半身では特に、頭を支える首に力が入ります。そのために首や肩のコリが起こりやすく、腰痛にもつながります。
また首を痛めると、交感神経と副交感神経の自律神経の働きが悪くなります。健康時には、2つの神経のバランスがうまく保たれていますが、首を痛めることによりその2つの神経が圧迫されて情報がスムーズに伝達できなくなり、血液も体の隅々までまわらなくなります。その結果、足には冷えやむくみの症状が現れてきます。
3:下半身に及ぼす影響
下半身は前傾する上半身を踏ん張って支えるために、すねや太ももに無意識に力が入ります。そのため、下半身の筋肉が発達し下半身太りの原因にもなります。
発達した筋肉が疲労しないように脂肪をため込むおかげで、下半身はますます硬く、太くなっていきます。重心が後ろにかかった状態で歩くことになるので、転倒するリスクも多くなります。
このように浮き指は、全身にさまざまな影響を及ぼします。浮き指が進行すると、全ての足指がそり返って浮いてしまうこともあります。そうならないためにも、早めに改善策を講じていきましょう。
浮き指の改善方法 ―グーパーリハビリ運動―
浮き指を改善するには、足の親指の付け根を鍛えることが大事です。付け根に力を入れて、親指を足裏に曲げることができるようになると、地を踏みしめる力がアップします。
指の付け根のトレーニングには「グーパーリハビリ運動」がおすすめです。
【グーパーリハビリ運動】
(1)手の人さし指を伸ばして、他の4本で足の親指の付け根を深くしっかり握る。もう一方の手で、足首がグラグラしないように足の甲をしっかり握る。
(2)握った親指の付け根を、足裏側にグッと曲げる。これが「グーの運動」。
(3)付け根を深く握ったまま、左右にぐるりと回す。これが「パーの運動」。反対の足も同じようにする。
毎日、片足を5分くらい行うとよいでしょう。翌日に痛みが出ない程度ではじめて、少しずつ慣らしていきましょう。ただし、足に痛みがある時は行わないように。また、途中で痛くなった時は中止してください。2週間ほど続けると改善効果が期待されますが、無理をせずに続けましょう。
日頃、あまり意識することがない足の指ですが、体を支えてくれている大切な縁の下の力持ちです。健康で快適に暮らすために、浮き指などの足のトラブルは早めに改善しましょう。
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